重く重くのしかかる教育資金
こんにちは。横浜の資産形成FP 城戸です。
世の中はまさに受験シーズン真っ只中。
小学生から浪人生まで、「普段力」や「火事場の馬鹿力」を発揮して頑張っていただきたいと、影ながら応援しています。
さて、今日はその「教育」に関わる、現実的なお金のはなしです。
合格するための準備が1日ではできないのと同じで、教育にかけるお金も1日では作れません。
このレターでは、変わりつつある奨学金と、計画的に準備することが親御さんの将来設計にどのくらい影響があるかについてあらためてお伝えしてまいります。
貸与型奨学金全受給者から保証料を徴収へ(日本学生支援機構)
先日の日経新聞に日本学生支援機構の奨学金制度について、貸与型奨学金受給者全員から新たに保証料を徴求するとの記事が出ました。大学や専門学校を卒業後返済が始まりますが、その返済の延滞が増えているというのが理由だそうです。
返せない利用者が年々増加 そのツケは税金で
支援機構のHPを見ると平成30年3月時点で約9兆円の貸出残高、記事によれば延滞の金額は全部で約500億円だそうです。貸倒引当金が660億円積んであるので十分に思いますが、延滞が10年ほどで2.7倍になっており、“収益”となる金利は殆ど取れないのでその代わりの保証料ということなのでしょう。機構自体は金融機関から“無利息”でお金を借りているので、経費は要するに税金で賄っていることになります。
学生個人単位で見ると大学生の約4人に一人が学生支援機構の奨学金を借り、一人当たりの借入残高は約347万円だそうです。返済期間は借入額によって変わりますが、340万円以上になると返済するのは20年間と決まっていますので、卒業後は毎月約1万5千円ずつ返済することになります。統計年度が少し違いますが、15年度の私立大学文系の入学金授業料等4年間の納付合計が約385万円、私立理系だと約607万円。高等教育にはお金がかかります。
調達方法の一つとしてみなさま一番手っ取り早く思いつくのは児童手当でしょうか。現在最低でもこども一人あたり5千円/月支給されています。実際に世の中のご両親は使わずに積立される方が非常に多いようですが、中学校入学頃には塾や習い事が増えて積み立てを止めてしまう方が圧倒的に多いそうです。そもそもこの旧子供手当、扶養控除廃止の際に少々無理して作られたもので、最近では所得格差を拡大させるものということで見直しの対象になっているようです。個人的には実務を担う地方公共団体の手間なども鑑みると、近い将来に本来の福祉レベルの規模に縮小されると考えています。
では児童手当に頼らず仮に子供が生まれてから大学入学まで毎月1万円積み立ててくと、12万円/年×18年=216万円になります。当然それでは不十分でしかも18年後学費はもっと値上がりしている可能性の方が高いです。しかも当然子供が生まれた瞬間から食費被服費保育費医療費、高校以降は入学金授業料その他諸々お金がかかりますので、所得の伸びが期待できない中でその場凌ぎで考えるのは危険です。
教育費の調達対策は勿論、せめて10年単位だけでも家計のシミュレーションをしてみることに限ります。我々ファイナンシャルプランナーの出番です。祖父母からの教育費の一括贈与制度もありますし(そもそも通常必要とされる教育費の贈与は非課税ですが)、学資保険の活用も考えられるでしょう。住宅ローンを抱えておられる方なら返済とのバランスも慎重に考慮する必要があります。
住宅ローンの審査をしていた際、時々住宅ローンと教育ローンで文字通り首が回らなくなってしまった方の、低金利の住宅ローンへの借換える案件が回ってきました。ご両親とも子供に負担を掛けたくなかったのでしょう。お気持ちはよくわかったのですが、いずれも審査上残念ながら返済比率が基準をオーバーしてしまい、謝絶する他なかったことを思い出しました。自動車部の学生の中にも奨学金を利用している者もおりますので、事情はよくわかります。よろしければ是非ご相談ください